山口大学医学部精神科神経科

Molecular Cell Biology

私たちは、精神神経疾患の病態生理について、主に実験動物や培養細胞を用いて細胞生物学、分子生物学的な視点から研究しています。
近年、精神神経疾患の発症において、ニューロンやグリア細胞を含む脳内に存在する細胞から放出される細胞外小胞(エクソソーム、Extracellular vesicles)が関わっている可能性が示唆されています。エクソソームは50−150nm程度の細胞から分泌される小胞で、DNA、マイクロRNA(miRNA)、タンパク質などのさまざまな分子が含まれています。隣接の細胞や血中の循環によって遠隔細胞に送達され、受け取り側の細胞の表現型を変化させる働きをもっています。
現在は、精神神経疾患患者の末梢血由来のエクソソームの解析し、体内の状態を反映したバイオマーカーを探索することにより、新規診断法や治療法の開発につなげることを目標に研究を進めています。

現在の研究テーマ

  • 精神神経疾患患者の末梢血中エクソソームに含まれるタンパク質や糖鎖
  • マイクロRNAの解析と新規バイオマーカーへの応用
  • 気分障害患者のエクソソームの解析を通した運動療法などの治療効果の解明
  • エクソソームを介した脳内炎症メカニズムの解明
  • 加齢に伴う炎症が引き起こす、精神的、身体的な老化メカニズムの解明(認知症や加齢性うつ病、サルコペニア等)

山口大学研究推進体に参画しています!

エクソソーム

cognitive function/imaging

認知機能・脳画像グループでは、個々の患者さんに対する最適な治療法の確立を目指して、精神疾患の診断、病態解明、治療反応性、および予後予測に関するトランスレーショナルリサーチを重点的に進めています。研究手法としては、意思決定や情動認知に関する行動実験、認知理論に基づく計算論的モデリング、機能的核磁気共鳴画像(fMRI)や光トポグラフィー(NIRS)などの脳活動計測、そして機械学習が挙げられます。これらの手法を組み合わせ、高次脳機能の基盤となるメカニズムを解明し、実臨床で応用できる精神疾患のバイオマーカーの開発を進めています。加えて、うつ病患者を対象とした運動療法やその他の補完療法の研究・開発にも取り組んでいます。

Epidemiologic Therapy

疫学研究とは、臨床研究の一分野です。多数の人の情報を集め、健康や病気に関連する因子と転帰の関連や、介入の有効性を分析し、その結果を、実臨床での病気の治療や予防に役立てる研究のことです。当グループでは、現在、①大学生やがん患者さんのメンタル不調に関連したリスク因子の検討、②摂食障害患者さんの退院後の再入院に関連するリスク因子の検討、③発達障害の子供を持つ親の養育態度と脳病態の関連の検討、④コロナ禍の自殺未遂者の特徴の検討などを行っています。また病棟や外来で経験した症例報告も随時学会発表しています。

疫学研究

TRAINING GUIDANCE