私たちと未来志向の
精神医学・精神科医療を
作り上げていきませんか
MESSAGE教授あいさつ
精神症状はヒトにおいては1000億個もの神経細胞が特有のネットワークを形成している脳を中心とした身体的な基盤のうえに表出されます。これらはとても複雑ですが、多くの偉大な精神科医が根気強く、地道な診察によって体系化してきた経緯があります。さらに近年では遺伝学、脳科学、インフォマティクスの急速な発展や心理学、人文科学との融合が進み、多角的に精神症状を見ていくことが可能になってきています。一方、未だ解明されていないところも多く残された、大変魅力的な領域でもあります。人間は幸福を希求する生き物ですが、21世紀の現在、欲求はより物質的なものから精神的なものへと変遷しています。このような中、メンタルヘルスを含む精神医学は医療の分野で大きく進化しており、より重要性を増しています。
大学の医局において、教育、臨床、研究は最も重要な三本柱ですが、特に教育を重視しています。医療が高度化する社会において、慈愛に満ち豊かな人間性を有する医療者がさらに求められています。このため、正確で最新の精神医学的知識・医療倫理を基盤とした偏りのないバランスの取れた柔軟な診療姿勢と広く人間性を尊重する治療・対応ができる人材を養うことが当医局の目標になります。そのためには、自主性を重んじ、自由闊達な意見が言える環境や研究などを通しての合理的な思考の育成が必要であると考えています。当医局では医学部生、研修医、専攻医のそれぞれの自主性を重んじた重厚な教育プログラム体制を整えおり、幅広い精神医学の知識を学ぶ環境に恵まれています。臨床では、疾患に特徴的な症状の緩和ばかりではなく、患者さんが満足した日常生活・社会生活を送ることができるためのリハビリテーションを重視しながら実践しています。地域性もあり一般的な病態に接する機会も多いのですが、一方では最後の砦として難治な病態にも対峙します。このため、最新の知識をもとに、さらに高い水準の新たな診断ツールや治療法の開発を行っています。AI・VRを活用した医療器機や新しい治療法が開発される今、精神医学・精神科医療は、まさに大きな変貌を遂げようとしています。そのような時代に、私たちと未来志向の精神医学・精神科医療を作り上げていきましょう。意欲に満ちる皆さんとお会いするのを楽しみにしています。
教授 中川 伸