大学院について、世間で色々言われている節はありますが(主に、大学院を卒業した先生方は「大学院は行った方が良い」と仰いますし、大学院を出ていない先生方は「大学院なんて行っても仕方ない」と仰る傾向があります)、私個人の現時点(博士課程3年目)の感想としては、大学院に進学して良かったと考えています。
まず、大学院での研究を通じて、精神医学の奥深さに触れることができました。精神医学という分野は未解明な点が数多く残されています。「統合失調症がなぜ発症するのか」「抗うつ薬がなぜ効くのか」「精神療法は脳にどう作用しているのか」……など、臨床上で遭遇する多くの疑問に答えるべく、日々、世界中の研究者が奮闘しています。
もちろん、臨床経験を積めば薬物療法や精神療法については上達するでしょうが、それは例えるなら「車をどう上手に運転するか」という技術的な話であって、その先へ進もうと思ったら「そもそも車がなぜ走るのか」という仕組みの部分の理解は避けて通れません。
例えば、私が今研究させて頂いているリスク回避傾向の変化をはじめとした意思決定の障害も、うつ病や不安症といった病態を解明する新たな切り口として注目されています。大学院で実際に研究を進めることで、精神医学の深み、その一端に触れることができているように感じます。
また、大学院生活を通じて、インプットについても大いに磨かれました。